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最近の読書 2015年秋 ―覚え書― [本(小説 他)]

少し前ですが、読書の記録です。 

このところ読んでいた児童書に物足りなくなってきて、久しぶりに古典が読みたくなりました。

古典は、実際には、ほとんど読んでいないのです。
難しいし、それほどおもしろくない。読む時間がかかるわりに得られるものもあまりない、というイメージの方が大きいのです。

太宰治「人間失格、三島由紀夫「仮面の告白(これらは挫折)
川端康成「雪国(さっぱりわからず)
「こころ」で感動したので、夏目漱石の「三四郎」「それからも読みましたが(新聞連載もあって2回も)、残るものはあまりなかったのでした。
外国物も「嵐が丘」「ジェーン・エア」「テス」「二都物語」「大地」など(ほとんど20代に)一応読みましたが、自分には少し、しんどかった。

おもしろく、心に残っているものは「風と共に去りぬ」「モンテ・クリスト伯」「紅はこべ」「自負と偏見(こういう系統ばかり。全て宝塚で演っている)。
「カラマーゾフの兄弟」は難しかったが、ドストエフスキーはわりと合いそうで(でも、やっぱり暗くなりそう)、そういう古典の中から読めそうで興味あるものをさがしているうちに行きついたのは、ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」でした。(今さら)

でも、自分と似ていて「知ってそう」なイメージから、少し違うものを読みたくなり、もう一つの代表作らしい「デミアン」になりました。

(どうでもいいような)前置きが長くなりました。


デミアン」   ヘルマン・ヘッセ 作   実吉捷郎 訳   岩波文庫   

レビューを読むと岩波文庫版の方が読みやすいというのがあって、こちらにしました。(借りた本が30年前の発行で、ひらがなが多い。どうしてこんな言葉までひらがな?というのがわりとあった)。

デミアン (岩波文庫 赤435-5)

デミアン (岩波文庫 赤435-5)

  • 作者: ヘルマン・ヘッセ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1959/04/05
  • メディア: 文庫



これは、読んで良かった。
青春もので、主人公ジンクレエル(デミアンではない)の内面の成長を描いた教養小説(?)でしょうか。全編、ジンクレエルの語りで進みます。
読むのが(年齢的に)遅すぎなのですが、最初の言葉が、自分がかつて、悩んだり考えていたことと同じようで、心にふれてきたのでした。

ぼくはもとより、自分のなかからひとりでにほとばしり出ようとするものだけを、生きようとしてみたにすぎない。どうしてそれが、こんなにむずかしかったのだろう。

最初のジンクレエルが受けるいじめは現代と変わらないようで、外国の古典というのを忘れていました。
ピストリウスとの関係に変化が訪れる話も、覚えがあるような心理に親近感を持ちました。
心理描写は多いが、エピソードのつながり具合や話のテンポが良いのか、わりと読みやすかった。

私自身、自分になりたいという思いやそうなる方法がわからず苦しんでいたことが、ジンクレエルの内面とだぶって、共感するところが多かった。
デミアンやピストリウスの言葉は自分もこういうことを知りたかったり、言ってほしかったもので、ジンクレエルと同じ気持ちになりました。

ある人間をにくむとすると、そのときわたしたちは、自分自身のなかに巣くっている何かを、その人間の像のなかでにくんでいるわけだ。

たいていの人間は、外部の映像を現実だと思って、心のなかにある自分自身の世界に、ちっとも発言させないから、それだからあんなに非現実的にくらしているわけだ。

印象に残った言葉は多いが、これがテーマかなと思います。
ぼくが存在しているのは、詩を作るためでも、説教をするためでも、画をかくためでもない。―そんなことはみんな、ついでに生じてくるだけである。
どんな人間にとっても、真の天職とはただひとつ、自分自身に到達することだ。

この本を読んで古典に対するイメージがまた、変わりました。
若い人に(現代人に)読んでほしいです。



「マノン・レスコー」   アベ・プレヴォー   青柳瑞穂 訳   新潮文庫   

(今、演っている)宝塚の原作だし、有名な古典なので読んでみました。(でも、これも宝塚で演らなければ、一生読まなかっただろう作品です)。
「デミアン」と、うって変わって反対の話なのですが、予想外におもしろかった。

マノン・レスコー (新潮文庫)

マノン・レスコー (新潮文庫)

  • 作者: アベ・プレヴォー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫



騎士グリュウとマノン・レスコーの恋愛物語。
これも「デミアン」と同じく、グリュウの回想で語られていて、読みやすかった。文章も簡潔でわかりやすく、せりふが生き生きしている。

グリュウがマノンと出会って、一目で恋におちて、そのまま駆け落ちをして、一ヶ月で連れ戻される。(マノンはその間にもグリュウを裏切っていたのだ)。
この間、わずか二十数ページ。あまりの展開に笑ってしまった。

その後も懲りずに、マノンの享楽的で不実な性格を知りながらも離れられない。マノンと一緒にいるためなら何でもするグリュウは、あきれるのを通り越してあっぱれと思ってしまった。
それなりに悩んだりもしているのだけど、すぐに立ち直る前向きさ(?)や実行力は、ここまでくると尊敬に値すると思いました。

どうしてこんな話を宝塚でするのだろうと思っていたが、最後の方でわかりました。
グリュウの言葉が印象に残りました。
「ぼくたちの同国人はここへ黄金を捜しに来る。ところが、ぼくたちがここで黄金よりもっともっと値うちのある宝物を見つけたことなど、彼らは夢にも知らないのだ」

悲劇だけど、後味は悪くなく、美しいロマンスだけが残るようでした。
280年以上も読み継がれているのがわかる気がしました。





 


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