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「エリザベート」総括 その4 (1996年 星組版) [観劇]

映像で観る「エリザベート」。今回は星組を書きます。
舞台で観たのですが、ほとんど覚えていなく、初めて観るような気持でした。(花組版と、いろいろな意味で対照的でした)。

星組

トート 麻路さき   エリザベート 白城あやか   フランツ 稔幸   ルキーニ 紫吹淳
ルドルフ 絵麻緒ゆう   少年ルドルフ 月影瞳   ゾフィー 出雲綾


星組は一言で言うと、感動を通り越して衝撃的だった。
花組を観た後だし、それほど期待していなく、軽い気持ちで観始めたら、どんどん作品に入ってしまった。
最初一幕だけ観るつもりが(椅子に座っていた)、いつの間にか床に正座して、最後まで食い入るように観ていた。

「何だ、これは」
観終わった後は、呆然とした気持ちと興奮が入り混じったような、言葉にできない衝撃だった。

簡単に言うと「エリザベート」という物語が初めてわかった(?)というか、観たような気さえしたのだ。
今まで、主役はエリザベートで、彼女の遍歴を中心に観ていて、そこにトートが絡んできている(その絡みも"死"だから)という意識しかなかった。
星組を観ると、トートとエリザベート、フランツの三人が鮮やかなぐらいくっきり見えて、見事なバランスだった。

こんな単純なことに(初演から)12年もたって気づくなんて。
「最後の審判」の場面でのやりとりなんて、今まで全然意味がわかっていなく、構成上、最初の場面に戻った、ぐらいにしか思っていなかった。

シシィの少女時代から、トートとの出会い、宮廷の重臣たちの場面、お見合い― と、ドラマがちゃんと見えたのだ。
トートの麻路さんは初めてシシィを見た時の表情や、その後の演技で、歌のまずさがほとんど気にならなく、歌詞の感情が伝わってきた。
シシィの白城さん、フランツの稔さんも同様で、場面ごとの感情が伝わってくる。
話の流れが(感情の流れも)途切れなく、説得力があって、三人の行く末に、はらはらわくわくしてしまった。

感動したのは、「エリザベートの居室」の場面。やすらぎを求めるフランツを拒否して条件を突き付けるシシィの心情が、今まで観たものより感情移入しやすく、その後トートが入って来る時の妖しさや恐怖感、シシィの一瞬、身を任せそうになる表情、彼女に拒まれたトートの失意やプライドなど、演技の一つ一つが魅力的で、こんなにおもしろい場面になるのだと思った。

それが一幕ラストのシシィとフランツを見ているトートにつながって、三人がくっきり浮かび上がってきた。(今までこの場面はシシィしか観てなかった)。

二幕でシシィが倒れて、トートが医者に化けて出てくる場面は、その前から「シシィが襲われる」と、どきどきしたし、麻路さんのトートの圧倒的な存在感にのまれるようだった。

好きな「闇が広がる」の場面は、「絵麻緒さんのルドルフはどんなだろう」なんて考える余裕もなく、「ルドルフが襲われる、死にとりつかれる」と、半ば本気で(自分がルドルフになったように)怯えていた。「ルドルフがかわいそう」と、ただただ、麻路さんのトートが怖かった。

葬儀の場面は「まだ私を愛していない」のせりふが、初めて説得力を持って聞こえた。

そうして、紫吹さんのルキーニの掛け声で、最後の審判が始まった時、最高の盛り上がりを見せて、私の中ですとんと物語全体がつながった。
ラストでトートとエリザベートが昇天する場面が、初めて実態を持って見えたのでした。


初めて観た時の大まかな感想だが、今年、宙組を観るため、観直した時も、とにかくせりふ(やりとり)の一つ一つ(動きや表情も、もちろん)に説得力があって感情移入ができる。

トート麻路さんは歌のことなんて忘れてしまう。むしろ今までの人よりずっと、歌詞の一語一語の意味や感情が伝わってくるのが不思議だ。
表情にひきつけられるし、手の演技(?)や動きに目が行った。ダンスや動きに目が行くことは、自分はほとんどないのだが(というかわからなかったし)、それだけで心情が伝わってくるようなトートだった。("閣下"というのに違和感がない)

印象に残った場面は全てといっていいくらいで書けない。
「エリザベートの居室」で入ってくる時、ハンガリー独立運動を扇動して担がれている時の表情など、まさに黄泉の帝王で、空気が違う。
「最後のダンス」で鏡の間に入ってくる時、カフェで帽子を取った時みたいな小さい場面でも、どきっとするような表情で、目が離せなくなる。

エリザベート白城さんは、雰囲気は花總さんの方がぴったりかもしれないが、麻路さんと同様、とにかく感情移入ができるのだ。
「私だけに」も良かったが、二幕目がすごく良い。
特に葬儀の場面は演技に見えなく、ほんとにその時代、場所に居合わせているようで、その後の場面が、すごく生きてきた。
「夜のボート」は、それまでの年月を背負っているものが(ドラマが)見えて、エリザベートだと思ってしまった。

フランツさんも良かった。
一幕のシシィとの場面が好き。最後までシシィを想っているのが伝わってくる。
皇帝の品があるし、ゾフィーや政治の方への思いもバランスが取れていて、人物が息づいていた。

ルキーニ紫吹さん。
軽い気もするが、狂気をはらんだ人物が出ているし、進行役として、目立たない(物語を邪魔しない)ところと、説明する場面が(くどくないし)良いのかな。
物語に入りやすかったのはルキーニのせいもあるかと(花組版を観て)考えてしまった。

ルドルフ絵麻緒さん。
香寿さんと比べてしまうが、絵麻緒さんもすごく感情移入できた。
追い詰められた心情がよく出ていた。

ゾフィー出雲さんは歌がやっぱり良くて、演技も貫禄があってぴったり。
重臣たちもドラマがよく伝わってきた。

ヘレネ万理沙さん。ヘレネという役自体、今まで素通りしていた気がするが、ヘレネだと思った。
ヴィンディッシュ陵あきのさん。精神異常者に見えたし、シシィとのやりとりも良かった。

演じている人を意識しないで、物語に入っていけるのは星組版が一番かな。(主役と主要人物、脇役の比重みたいなものも、バランスが良いと思うのだ)。
「エリザベート」という作品を観るのに、星組版は一つの基準になりました。
(それにしても、「ベルばら」といい「エリザ」といい、自分は星組の演技が合うのかと改めて思いました)。


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