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最近の読書 2017年春 その2 ―覚え書― [本(小説 他)]

今回は、(違う年代の)社会や生き方みたいなものが見える本を読みました。


「コンビニ人間」   村田沙耶香   文藝春秋   

コンビニ人間

コンビニ人間

  • 作者: 村田 沙耶香
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/07/27
  • メディア: 単行本


芥川賞の話題作。図書館で予約を入れて半年待ちでした。
新聞の書評で、主人公が変わった思考の人間みたいで、コンビニしか生活範囲がない(?)ところに、自分と似たところがあるようで、興味を持ったのでした。

前に芥川賞の作品を読んで、いまいちだったが、これはおもしろかった。

主人公と周囲の人々が、まさに現代人を表しているようで、ちょっと怖かった。(「普通の人間を演じる」とか、「自分がない」という意味で)。
主人公は発達障害(?)みたいで、社会に適応するために、相手の話し方や仕草を真似したりする。でも、これは特別なことではなく、他の人間も影響を受けて、友だち同士似てきたりすることを、主人公が冷静に分析、観察しているのがおもしろい。

友だちもできたが、自分を正直に出すと、周囲から怪訝な目で見られるのが、自分にも覚えがあって、感情移入しすぎてしまった。

「正常な世界はとても強引だから、異物は静かに削除される」なんて、自分が今、職場で少し悩んでいることに通じていて、読んだ時、眠れなくなってしまったのだ。

主人公が「普通」の「こちら側」の人間になったら(なったと思われたら)、周囲の人間が、どんどん違う生き物になっていく違和感も納得した。(これも覚えがある)

「普通の人」として見てもらえるために、後半、変な道へ行くのだけど、最後は自分を取り戻す(自分に気付く)のが良かった。
人に嫌われても、「普通」でなくても、結局「自分でいることが一番安定する」ことがテーマなのかな。一方で、自分でない「社会に役立つ部品」にならないと生きていけない現代(未来も?)を表しているようにも読めました。



「ぼくがぼくであること」   山中恒   岩波少年文庫   

ぼくがぼくであること (岩波少年文庫 86)

ぼくがぼくであること (岩波少年文庫 86)

  • 作者: 山中 恒
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/06/18
  • メディア: 単行本



これは、以前、雑誌の特集「大人の少年少女文学」の中で、(男性)著名人のおすすめ本として知ったものです。
主人公を苦しめている元凶が母と妹というのが、かつての自分とそっくりで興味を持ったのでした。

自分の子ども時代の児童文学だと思っていたが、少し昔で、1969年出版だった。
当時は普通の家庭として描かれていたと思うが、今読むと、大人の自分でもびっくりするというか、主人公の秀一がちょっとかわいそうだ。

でも、たくましさに驚いてしまう。小六で家出をして、他人の家で(受け入れてもらえるのだ)、自分らしくいられるうちに成長していく。
やっかいなことに巻き込まれて、事件にもなりそうなめに遭うのに、友だちのためなら、自分の思うままに行動できる秀一がいい。

家へ帰っても、母親に体当たりでぶつかって、けんかをして、母親の哀れさに気付く。
自分で考えるから、先生や親の「正しい」ことの矛盾にも気付けるのだ。

友だちになった夏代も大人だ。祖父の過去や、自分の母親のことを聞いても、過去と現在の問題をきちんと区別できるのだ。

優一の「教科書に書いてあることをいっしょうけんめい勉強するやつなんて、ばかだぞ!」という言葉も残る。

50年近く前の作品だが、これを読むと、現代は親子関係が(友人関係も)優しすぎるから(反抗したりぶつかったりを許さないみたいな)、心が育たなかったり、反対にひどいいじめにつながっているように思えてきました。


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